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第43回(2003..10.20)
プロアクティブリスクマネジメント(1) |
リスクマネジメントと一口にいってもいろいろな手法や考え方がある。今回は、プロアクティブなリスクマネジメントについて考えてみよう。
◆反復型開発に見るリスクマネジメント
RUP(ラショナル統一プロセス)という開発マネジメントプロセスがある。このマネジメントプロセスでは、大きなシステムをいきなりすべて開発せずに、少しずつ細かく分け、要件分析→設計→実装を繰り返し行うことにより、最終的に開発したいシステムに近づいていく。一般には反復(イタレーション)と呼ばれる方法だ。技術的な議論はそばにおいて、このようなやり方をリスクという面から見ると2つの特徴があることがわかる。
ひとつは、いきなりシステム全体を作らないことによるリスクの回避である。まず、システム開発なので、顧客がシステムの姿が見えたときに、仕様変更を求めるリスクは非常に大きい。このリスクの回避である。二つ目は、リリースを刻んでいけるので、納期を細かく調整していくことが可能であり、リスク遅れによるダメージを避けることが可能になる。この2つを組み合わせると、納期遅れそのものを回避するリスク回避が可能になる。
もうひとつは、技術リスクの緩和である。繰り返しを行う際に、技術的に難しい点を早めに潰していける。これにより、プロジェクト全体の時間コントロールの自由度が増えてくるし、また、技術的な問題で手戻りをせざるを得ない場合、その影響をできるだけ小さくできる。
◆リスクをできるだけ早いタイミングで処理する
この2つの特徴で、システム開発の主要リスクである、コストリスク、スケジュールリスク、技術リスクをかなり押さえることができることは容易に想像できるだろう。実は2つの特徴には共通点がある。それは、リスクをできるだけ早いタイミングで処理しようとしている点である。
仕様変更のリスクは本来ならシステムの形が見えてきてから、表面化するが、反復を行うことにより、早いタイミングで発生させ、対処ができる。つまり、仕様による手戻りを押さえることができる。納期遅れのリスクを、早いタイミングで調整し、仮に全体として納期遅れが発生したとしてもそのダメージを最小限に抑えることができる。技術的なフィージビリティによる手戻りが発生する場合にはできるだけ早い時期に起こし、その被害を最小限に抑えることができる。
このように避けられないリスク早い時期に発生させ、被害を最小に抑えようとする考え方をプロアクティブリスクコントロールと呼ぶ。
◆プロアクティブの効用
プロアクティブは2つの効用を生み出す。
効用1:リスクによる被害を小さくする
効用2:リスク発生後のプロジェクトの変更の自由度を確保できる
効用2については少し説明が必要かもしれない。たとえば、受注したときに納期の遅れが予想されるとしよう。そのときに、計画段階でこのリスクを考慮したスケジュールにしていくことと、実施段階で要員投入をし、リスクに対応するのでは、結果として発生するコストオーバーなどの損害は異なる。計画段階で対応すれば、計画も含めてリスクのコントロールに使える自由度はきわめて大きいが、開発の実行に入ってしまうと、残りの期間しか自由度がないことになる。この違いがプロアクティブリスクマネジメントのポイントなのである。
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