第36回(2003.04.21) 
プロジェクトの成果はメンバーのマネジメントスキルで決まる(2)
 

 前回からの続きで、PMが実務知識を持つより、メンバーがマネジメントセンスを持った方が手っ取り早いのではないかという話の続き。

◆メンバーが持つべきマネジメントセンス
 では、メンバーが持つべきマネジメントセンスとはどんなものか?PMI流に言えば、スコープ、時間、コスト、リスク、品質といったあたりだろうか。そうだともいえるし、そうだともいえない。

 何がもっとも求められるかというと、目標を立てるだけではだめで、その目標を具体的にどのように実行していくかということを考えられるセンスなり、スキルである。ある意味で、これはプロジェクトマネジメントそのものであるともいえる。

 たとえば、プロジェクトマネージャーが顧客管理のシステム開発であるモジュールの開発を100時間で、4月30日までに行うという計画を作ったとしよう。これは計画であるし、「プロジェクトというレベル」では、顧客管理のシステムを作るという目標の「実行手段」である。

 ところが、「設計者のレベル」で考えればこれは目標に過ぎない。多くの場合、これを計画だと捉えているので、そのとおりにやればよい、言い換えると、記載されていないところはどのように進めてもかまわないと考えるので話がおかしくなる。この目標をどのようにして達成していくかという計画が必要である。プロジェクトの中で「ブレークダウン」が機能していないのだ。

◆キーワードはブレークダウン
 これは単に「ブレークダウンする」ということを言っているに過ぎない。が、意外にこれが難しい。見積もりとも密接な関係があるが、メンバーがまずこれができるようになるとプロジェクトはうまくいく。

 では、このようなスキルをメンバーに持たせるにはどうすればいいか?そもそも、ブレークダウンしていくというスキルとはどういうスキルかという議論もあるだろう。この作業は単にプロセスを明確にするスキルだけでもないし、また、作業方法(工法)を決定するスキルだけでもない。今回、はじめた議論の発端はここにある。

 ブレークダウンする習慣を定着させるためには、プロジェクトそのものを構成的にし、アーキテクチャーのアカウンタビリティを高めることが必要である。つまり、計画の中で出てくるワークパッケージやアクティビティがどうして出てくるのかを、説明して理解させるのではなく、メンバーが見て理解できるものにすることだ。これは難しいことを言っているわけではない。WBSをきちんと作りましょうといっているだけである。

 コンサルティングを行っていると、WBSをチェックリストのような位置づけで使っている企業が多いことにびっくりする。そのような位置づけで使うのであれば別にWBSである必要はない。WBSの役割もMECEと同じような役割に過ぎないことになる(実際にそういう役割があることも確かだが)。しかし、WBSの本来の役割は、プロジェクトのアーキテクチャーの明確化と、説明力にある。

◆プロセスと作業方法の対話
 ここで注意したいのは、プロセスと作業方法の関係である。プロセスと作業方法は補完的な関係にある。つまり、プロセスを構成するのがプロジェクトマネジメント手法であり、作業方法を構成するのが領域の理論であったり、ノウハウであったりする。プロジェクトマネジメント力とはこの統合的な力なのだろうが、逆にいえばチームの力でもある。

 チームの力を引き出すために、WBSはプロセス構成のエキスパートと、作業のエキスパートの対話ツールになる。そのような対話ツールによる対話の中で、メンバーがよりコミットするために上で述べたようなマネジメントセンスを習得していくというのが望ましい姿である。


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