第24回(2002.11.11) 
ニューウェーブプロジェクトマネジメント宣言
〜メンバーによるメンバーのためのPM
 

◆プロジェクトマネジメントは誰がするのか?

 意外とこの議論はされていない。(PMBOKなどの定義はさておき)プロジェクトマネジメントという言葉には、プロジェクトマネージャーのやっていることというイメージがあるのは確かである。つまり、プロジェクトマネージャーありき。本当なのだろうか?

 確かにこのような考え方をするのはそのプロジェクトのステークフォルダ(顧客だとか、組織の上司など)からみれば大変都合がよい。プロジェクトが失敗すれば、例えその原因がステークフォルダにあったとしてもプロジェクトマネージャーに責任を押し付けることができる。

◆PMの孤軍奮闘
 現実に、プロジェクトがピンチに陥るとプロジェクトマネージャーが孤軍奮闘し、メンバーを励まし、顧客とのスコープの調整をし、所属組織とメンバーや予算の調整をし、なんとかプロジェクトを治めるという図式は日常的な感さえある。

 そして、このような姿がプロジェクトマネジメントのひとつの在り方であることは間違いない。しかし、ここでよく理解しておかなくてはならないことは、プロジェクトマネージメントが生まれてきたきっかけは、テネシー川の開発であったり、マンハッタン計画であったりした点だ。つまり、これらのプロジェクトは「世紀」のプロジェクトなのである。プロジェクトXもしかりである。「世紀」のと名がつくプロジェクトは偉大な偉大なリーダーシップのもとに達成されるものだろう。

◆メンバーに求められるもの
 話を現実に戻して、今、われわれが日常的に取り組んでいるプロジェクトについて考えてみよう。「世紀」のプロジェクトとわれわれが日常的に行っているプロジェクトの最大の違いはリーダーではなくて、スタッフ(メンバー)の差ではないかと思う。スタッフに何が求められるかはプロジェクトによって違う。原爆の開発をするのであれば、文句なく技術力であろう。しかし、地域開発をするのであれば、調整力や交渉力かもしれない。また、ソフトウエア開発のような受託開発プロジェクトであれば、スケジュールの調整能力や、品質の管理能力かもしれない。
 プロジェクトの定義に必ず出てくる「新規性」という言葉は大規模プロジェクトの時代は例外なく「技術」をさしていた。三大リスクが「技術(品質)」、「スケジュール」、「コスト」だとしても、その震源地は間違いなく技術にあった。だからところが、今、現実に行っているプロジェクトはそうであるとは限らない。「コスト」や「スケジュール」がすべてのリスクの震源地になっている場合が多い。すると、プロジェクトメンバーに求められるものは本当に「テクニカル」な専門性なのかという疑問を持たざるを得ない。

 このように考えてみると、当たり前の話であるが、メンバーにマネジメントのセンスがない限り、十分な成果の得られないプロジェクトは意外なくらいに多い。そこで、冒頭の「誰がするのか」という話になるのだが、今、プロジェクトマネジメントに対して本当にそのような認識があるかどうかが問題である。

※ここでいう技術は、「テクノロジー」に限らない。「ものごとをうまく行う術」を言っており、たとえば、営業技術も技術だし、会計も技術である。

◆進捗報告
 たとえば、メンバーが「虚偽」の報告をしていることによって、ある日、突然、プロジェクトが窮地に陥るというケースがよくある。これが本当に「虚偽」、すなわち、意図的な偽りであればまだ救いがある。しかし、本人は正しく報告しているつもりが、報告内容が結果として誤っているというケースが多い。その典型が進捗報告だ。EVMS以前は客観的な進捗報告の手段がなかったと言われるが、EVMSが客観的かというと決してそんなことはない。やはり、報告者の意図の入る余地が十分にある。

 そのような中でプロジェクトマネジメントがチーム全体に機能し、プロジェクトがうまくいくには、個々のメンバーのマネジメントの意識が相当に高いことが要求される。言い換えると、個々のメンバーのプロジェクトマネジメントの基本スキルが、そのプロジェクトの成果の大きさを決めているといっても過言ではないだろう。

◆ニューウェーブプロジェクトマネジメント宣言
 これからのプロジェクトマネジメントでは、メンバーが自分自身がうまく能力を発揮できるためにPMを中心にしてプロジェクトマネジメントに取り組んでいくことが必要になるだろう。つまり、メンバーによるメンバーのためのPMである。これをニューウェーブプロジェクトマネジメントと呼ぶ。モダンプロジェクトマネジメントを捨てて、ニューウェーブプロジェクトマネジメントで、難しいプロジェクトを乗り切っていこう!


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